彼に殺されたあたしの体
あたしは自分の腐敗状況が把握できていなかった理由が納得できた。


でも、だとすれば。


あたしが見たり聞いたりできるのには、時間が限られているんじゃないだろうか?


両目とも失って両耳とも塞がれてしまえば、待っているのは完全な闇だ。


完全な闇が訪れたとき、あたしの思考回路も停止するのだろうか?


もし、思考回路だけ動き続けたとしたら……?


そう考えるとゾクリと背筋が寒くなった。


どうしよう。


朝か夜かもわからない状況で、ずっとずっと意識だけが生き続けたとしたら。


死ぬに死ねない状態が、永遠に続いたとすれば。


恐ろしい!


なんて恐ろしいことなんだろう!


あたしは慌ててその考えを打ち消した。
< 119 / 306 >

この作品をシェア

pagetop