彼に殺されたあたしの体
だとすれば、あたしは感覚を取り戻した状態で以前と変わらず土の中に居続けることになる。


変わらないのだから懸念を感じる必要もない。


でも、感覚が戻った今虫が骨の上を歩く事でさえ非常に不愉快に感じてしまう。


今まで眼球の上を歩かれたってそんなに嫌な気にはならなかったのに、明らかに嫌悪感が増しているのだ。


これでも次第に慣れてくるのだろうけれど、慣れるまでの事を考えると気分が重たくなった。


あたしは土の中を見回し、どんな小さな虫がいても敏感に見つけるようになっていた。


そして心の中で思う。


お願い、こっちへ来ないで。


あたしの血肉はすでに腐り果ててしまった。


あるのは骨と、ボロボロになった衣類だけ。


あなたたちの食料と呼べるものはなにもないわ。
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