彼に殺されたあたしの体
心の中でそう話しかけても虫には通じない。


あたしの思いはむなしく空回りし、虫たちはあたしの上を這って行った。


四本足の虫はまだいい。


少しくすぐったさを感じる程度だ。


でも、ミミズは最悪だった。


あたしの上を長い体をくねらせてズルズルと這って行く。


くすぐったさもあるのだが、その体はネットリとしていてとても気持ちが悪かった。


そんなミミズはゆっくりゆっくりとあたしの体を動き、時に骨の上で歩みを止めた。


まるでそこで休憩しているかのようだった。


そんな時、あたしは視線をミミズへと向けシッシッと追い払うような意識をしていた。


もちろん、それが通じた事は一度もないけれど。
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