彼に殺されたあたしの体
そうだ。


きっとそうだ。


あたしと生きた生物が会話をするなんて、あり得ない。


「あり得なくもないんだよ、お姉ちゃん」


睦人君は土の上でクスクスと笑いながらそう言った。


その瞬間、体に電撃のような衝撃が走った。


『お姉ちゃん』


睦人君はそう言った。


それはまるであたしに対して言っているような言葉だ。


あるいは、睦人君は空想の中で『お姉ちゃん』という年齢の女性を想像しているのかもしれない。


今までにない経験にあたしはただただ混乱するばかりだった。


もし、万が一。


睦人君が本当にあたしの声を聞いていたとしたら……?
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