彼に殺されたあたしの体
あたしは思わず大きな声で聞き返していた。


死んでからもずっとここにいたあたしは、成仏なんてできないのだと思っていた。


いつまでここにいればいいのか、全く出口が見えなかった。


それが、この土の中から出られるのだ。


外の世界に行けるのだ。


それはあたしにとって嬉しい事でしかなかった。


この生活から解放される。


もしかしたら、もう誰も憎まなくていいのかもしれない。


それならば、そっちの世界に行きたいと思った。


「強制的な成仏はできるよ」


(それなら……!)


「早まらないで」


あたしの言葉を遮って睦人君が冷静な口調で言った。
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