彼に殺されたあたしの体
普通なら目をそむけてしまうたくなるような場面を見て、心が躍っていた。


そんな感覚は正常ではない。


普通ではない。


そして憎む相手が命を失った時、あたしは重荷が取れたように楽な気持ちになっていた。


恨んでいたことがちっぽけな事に感じるほど、あたしは精神的に前向きになることもできていた。


それはまるで麻薬のようなものだった。


病んでいる気持ちが一瞬にして明るく変化する。


悩みなど空から見る蟻のようなもので、存在自体が消えてなくなってしまう。


人を呪い殺した時、あたしはそんな感じだった。


「……我慢ができないのなら、みあお姉ちゃんを強制的に成仏させるしかないんだよ」


返事をしないあたしに睦人君が言う。


(強制的に成仏……?)


あたしは聞き返す。


「そう。ちゃんとした人を呼んでお祓いをしてもらうんだ」


(そんなことができるの!?)
< 245 / 306 >

この作品をシェア

pagetop