彼に殺されたあたしの体
そうだった。


午後の授業は漢文だ。


あたしはフッと息を吐き出して、白い天井を見上げた。


そして布団の中でそっと自分のお腹に手を当てる。


そこに痛みはなく、ようやく安心することができた。


「なに笑っているの?」


安心したら自然と笑みがこぼれていたみたいで、メイが不思議そうにそう聞いて来た。


「ううん。なんでもない」


あたしは軽く首をふり、そう言った。


妊娠の事はメイにもまだ言えていない。


先生と付き合っていることさえ、メイには伝えていない。


誰にも内緒だという約束で付き合い始めたあたしたちだから、それを守っていた。
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