彼に殺されたあたしの体
そんな顔を見せた後、彼はかがみこんであたしの体をお姫様だっこのように抱き上げた。


あぁ。


何度こうして抱っこされ、ベッドまで運ばれただろう。


あたしはこうして抱きあげられる度に彼の首へ腕を回し、落とされないように掴まっていたっけ。


「重たいよね?」


そう聞くあたし。


「軽いよ」


そう答える彼。


そんな会話を何度交わしたことだろう。


そして彼はあたしを抱っこしたままキスをする。


「俺のお姫様」


と言って、とても嬉しそうにほほ笑んでくれる。


今日もそんなシチュエーションならどれほどよかっただろうか。
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