神風の如く




しばらくして朝餉を持った沖田が戻ってきた




今日の朝餉は白いご飯に味噌汁、漬け物と野菜のおかずが一品だった




「すみません、これくらいしかなくて」




「いえ、頂けるだけでもありがたいです
いただきます」




華蓮は両手を合わせた





当然のことながら華蓮は湊財閥の令嬢であるから朝食はいつも専門の料理人が作るものであった




だからシンプルな和食というのはめったに食べない




しかし、華蓮はこういった懐かしの味というか、おふくろの味というか………
とにかく和食が好きだった




と思い出しながら食べていると隣から、ふっ、という笑い声が聞こえた




その主は沖田





「沖田さん………?」





「すみません、あまりにもおいしそうに食べるのを見ていたら、ね?」






──ね?と言われましても………












「ところで昨日とはまるで別人ですね
まあ、僕の場合土方さんに聞いただけなので確かではないですが」






食べ終わり、お茶を飲んでいるときに沖田が急に口を開いた






「え?」






「だって、華蓮さん、刀を足蹴りで折った上に刀を持った男を4人も倒したそうじゃないですか
それも体術のみで」






……………





言っていることが間違っているわけではないが、あまり嬉しくはなかった






「…………私、ああいう時になると人が変わったようになるみたいで」






苦笑いをすると沖田はそうですか、といいそれ以上聞いてこなかった






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