偽フィアンセは次期社長!?
「あ、いいえ……」


あれ?嘘でしょ?!


あの美人さんも、まるで他人のよう。


課長に落ち着いた笑顔を見せると、あたしにも軽く会釈をしてくれて。



マルシェでデートしてたのって、ほんの1ヶ月くらい前の話なのに……。


「松田さんも、お忙しそうで」


吉川さんがあたしと課長を交互に見比べながら言う。


慌てて組んでいた腕を外そうとしたのに、ぐっとホールドされて抜けないし!!!


「いやぁ、お恥ずかしいところを見られてしまって……

あ、ご紹介が遅れました、フィアンセの仁美です」


言いながら、自然とホールドは解け、気がついたらあたしの背中に優しく手が添えられている。


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