偽フィアンセは次期社長!?
状況を察したらしき隼人君が、いつの間にかまとめてくれた荷物を手渡してくる。


「今検索したら、ここから電車よりは、もう時間的にもタクシーだね。一時間とちょい」


い、一時間とちょい、タクシーって……


つい、バックを受け取りつつ、那由子を見る。


「後悔するのは、全部やってみてからにしなよ」


「成田空港、第1ターミナル、北ウィング……」


返事の代わりに、さっきの呪文のような言葉を口にしてみる。


「イケメン課長、背が高いからきっとすぐわかるよ」


人混みの中ですぐに見つかる、あの立ち姿を思い出す。


課長がすぐに見つかるのは、背が高いからっていうだけじゃなくて、なんか、オーラみたいなのが出ているんだろうなって思ってた。


だけど違う。


あたしがいつも、探していたんだ。
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