偽フィアンセは次期社長!?
『久しぶりー!情報はやいなー。さすがだな。ベトナム王子、故郷に帰る。……映画のタイトルみたいだ(笑)』


かっこ、わらい、じゃねーーーーーっつーーーーの。


やっぱり行っちゃうんじゃん。


行かないで。


あたし、まだ大事なこと伝えてない。


思わず、身を乗り出す。


「あとどのくらいで着きますか?」


少し急ぐと言ってくれた運転手さんに感謝しつつ、気がついたら前の座席をがっしりつかんで、前のめりになっているあたし。


こんな事態にならないと、ここまで追い詰められないと、自分の気持ちに向き合えないなんて、最低だ。


あたしは、バカだ。


ねぇ、課長。


もう結婚が決まっていても、ベトナムに永住してしまうのだとしても、最後に一度だけ、あたしにチャンスをください。



タクシーが、ゲートをくぐり、乗降場できゅっと停まる。


26300円。

恐ろしい額が見えたけど、カード様々、後はよろしく!


来月も頑張って働きますからーーー!!!
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