偽フィアンセは次期社長!?
急に恥ずかしくなるから、改めて言わないで……!!


「かわいいな、それ」


立ち上がった課長が、あたしのフードをぐりぐりとする。


「どうする?」


どうする、の意味が分からず、首をかしげる。


「俺はベトナムに永住しない、フィアンセもいない、お前は俺が好き、俺はお前が好き」


……?い、今さらっと凄いこと言われたような……。


胸に暖かいものが拡がる。


好きでいて、いいんだよね?


あたし、課長のこと。


見上げた課長の顔は、前に見たことのある、あの慈しむような表情で。


「……今、もしかして昔飼ってたハムスター想像してます?」


「……いや、」


課長があたしの耳元に口を寄せる。
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