魔界姫志ーまかいきしー


それでも私の心の中ではわずかにモヤモヤしたものが彷徨っていた。

シキくんに言われた、あの「怪しい」って言葉に少しだけ納得した自分が居る。

どうしてそう思った?
何を根拠に考えた?

関わった事なんて無いのに、私は彼女を無のままに疑った?

自分の考え、勘だけで一人の少女を信じなかった。

私が初めて襲われた時の弓を使う女の人の仲間だと考えれば私に近付いた理由にもなるけど…

そんなこと絶対ない。
ミルちゃんは悪い人には見えなかった。

シキくんだって最初は凄く怖いと思ってたけど優しい所もあったし…人を疑いたくない。

まして、私と友達のように接してくれるミルちゃんを疑うなんて…。

ーーパチン!!

「「「…!?」」」

私は自分の両頬を手で軽く叩く。
皆が驚いたように私を見たけど気にせずに一人で呟いた。

「馬鹿馬鹿しい。考えるのなんてやめよう」

「…ユ、ユイちゃん」

ロイも慌てたように何か言ってるけど気にしなかった。

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