星月の夜に
静かにふすまを締めて、こっちにくるゆきさん
私と同じ制服を着た彼女はとてもキラキラして見えて…
「うん。じゃあ、食べよう…?」
ふいっと視線をそらしたあと、温めておいたお味噌汁をすくって器に入れた。
二人分の食事がならんだ食卓。
目の前にいるゆきさん。
二人して少し笑いながらご飯を食べる日常。
食べたあとを片付けて荷物とお弁当を持ち、家を出る。
しっかりと、鍵をかけるのを忘れずに。
「行こうか」 と、振り向いた瞬間、
ふわり、と風に乗って香ってきた
同じシャンプーを使っているのに、
どこか違う、ゆきさんの髪の香り。
まだかすかなよぞらと、
「そうだね」と笑う
ゆきさんの笑顔
"私"の中の"俺"が恋に落ちるのは
当たり前だった。