10回目のキスの仕方

恋人同士の距離とは

* * *

「は、はぁ!?付き合って実家まで行ってただとー!?夏休みもまだ半分しか終わってないっちゅーに!」
「あああ明季ちゃん!声が大きい!」

 久しぶりにご飯を食べようという話になり、大学の近くにあるファミレスに来ていた。明季と会うのは花火以来であるため、約1ヶ月ぶりだ。美海の顔は真っ赤だ。

「付き合ったのはいつ?花火の時じゃないよね?あの時変だったし。」
「へ、変…だったかなぁ?」
「気まずくはなさそうだったけど、なんか意識してる…みたいな空気だった。」
「…そ、そっか…。」

 傍から見るとそうだったのかと思うとより頬が熱くなる思いだった。明季に話したくないわけではなかったが、話すとなると根掘り葉掘り聞かれそうで、それは照れるという意味で何だか気乗りしなかった。

「で、いつ?」
「…えっと…そこも話すと複雑…というか…わ、私が悪いんだけど…。」
「美海が悪かろうが浅井サンが悪かろうがどっちでもいい!浅井サンが好きって言って、美海が好きって言い返したのはいつよ?」
「…えっと…それは本当に圭介くんの実家に行った時で…。」
「はぁ?実家でいちゃこいてたわけ?」
「ち、違うよ…!」

 顔が熱い。美海はカルピスを飲み干した。

「ちょ、ちょっと待ってね!」

 氷を多めに投入してからカルピスを足す。冷たい水分を摂取して顔の熱をどうにかしたい。
 明季の目の前に腰を下ろして、ごくごくとカルピスをもう一度口に含む。

「美海、顔真っ赤!」
「あ、明季ちゃんのせいだからね!」
「ごめんって。でも嬉しくてさ。美海にこういう日が来たらいいなって思ってたから。」
「…明季ちゃん。」
「まぁー…何にも知らないってわけじゃないし?だから余計に嬉しいんだよ。美海が特別な人を作るって、他の人が特別な人を作ることよりも難しいかなって思ってたし。」
「…うん。…でも、過去のせいにするのは、ちょっと違うかなって思えるようになったから。」

 それは一つ、大きな心境の変化だと言える。大切なものを大切だということは、失う怖さを彷彿させるから怖い。それでも、その怖さごと一緒にいてくれると圭介は言ってくれた。

「浅井サンに色々、話した?」

 美海は頭を横に振った。

「でも、話そうって思えるよ。話したら…進めるかなって。」
「美海が前向き~…浅井サン凄い…愛の力!」
「こ、声が大きいってば!」
「ところで美海ちゃん。」
「今度は…なに…?」
「ぶっちゃけ浅井サンとはどこまでいったかい?」
「っ…。」

 ぶっちゃけもなにもどこまでもいっていない。明季の追及はやまない。
< 151 / 234 >

この作品をシェア

pagetop