宿命の奇―destiny―
僕は、マントの男と向かい合っていた。

マントの男は言った。

「コイツ、殺っていいか?」

なぜ僕に問うのか分からない。

「どうして僕に問う?」

「同じ場所に居るから」

同じ場所だと!!確かにいろんな意味でな。

「この図書室に居るってことか?」僕は、軽く求められた答えをはずした。

「さぁな。お前自身気づいていると思うがぁ~?」マントの男は、近づいてきた。

僕は、逃げ出したかった。こんなヤツと一緒だと思うと虚しさが胸の奥にたまる。

でも、足が動かない。金縛りのように・・・。

ただ、ただ、ヤツを見ることしかできない。

「お前、名前は~?」ニヤニヤしながら問いかけてきた。

一歩一歩近づきながら。

「自分の名前から名乗れ!殺人鬼!!」

僕に関わるな!どうして!!僕がこんな目に遭うんだ!?

「そうだな。礼儀がなってなかった。俺は、無幻 零」

零は、そう答え、僕の脇腹を殴った。

僕は、上半身を前に乗り出し、意識が遠のいていった。

_死ぬのかな?だったらそれもいいかもな____
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