【完】向こう側の白鳥。
私はずっと、遠距離か何かの理由で会えないんだと思っていた。
別れても会いに行けないわけじゃないのに、会わないのは“会えない”からだと思っていた。
“会えない”
もしかして先輩……“会えない”のは遠距離とかじゃなくて……。
「黙れ!!」
突然、一ノ宮先輩が怒鳴り声を上げた。
さっきより何倍も低く大きい声。
周りを取り込む不穏な空気に、また背筋が震えて涙が出そうになる。
「あんたのような人間が、語っていいことじゃないんだよ。」
先輩が体中から出している殺気は、もちろん怖い……。
……だけど、先輩が“その人”を想う強い気持ちの方が……今の私には怖かった。