【完】向こう側の白鳥。
チョコレート……?
「最後の一つ。」
唇を離した先輩がそう言い、私を抱きしめた。
鼻から香る先輩の匂い。
この匂いを嗅ぐと、まるで麻酔にでもかかってしまったかのように動けなくなる。
「美味しい?」
私を抱きしめた状態のまま、先輩は問う。
「……美味しいですけど、普通に食べさせて下さい。」
私が顔を上げてそう言えば、先輩は軽く微笑んだ。
「柚子の可愛い顔が見たかったから。」
………………。
…………。
そんなことをスラッと言えてしまう一ノ宮先輩は、本当に甘い。
そして、残酷だ。