【完】向こう側の白鳥。
side 白鳥柚子
あの俊二が泣いているのを目の当たりにして、何だか私までもが心と涙腺を緩ませていたとき。
隣にいた一ノ宮先輩が急に俊二の頭を殴って、涙どころか出かかっていた言葉までもが喉を下りて行った。
「柚子は梅芽じゃない!!」
殴った瞬間は、一体何だと思った。
一ノ宮先輩の頭がおかしくなった?
なんてことは無くて。
「柚子は、柚子だから。」
ただ先輩は、私を庇ってくれただけ。
「……そうだな。柚子だ。」
俊二も頷いて、ずっと黙っていた康稀さんも頷く。
菜子ちゃんも時貴くんも、果穂さんも。
沢渡先輩も、一ノ宮先輩ももう一度。