【完】向こう側の白鳥。
「私はお姉ちゃん?」
「……!」
私はこの言葉で、ほんの少しばかりの自信が持てるようになった。
『「柚子は、柚子だから。」』
心が暖かくなって、自分から先輩に抱き着いた。
もう夕日なんていない。
真っ暗に染められた闇を、満月の光だけが照らしている。
そんな世界に映し出された、私と先輩。
もう何の鳴き声も聞こえなくて。
誰の言葉も耳には届かない。
二人だけの、二人っきりの世界。
無性に心が満たされ幸せと感じる。
この幸せを、もう二度と手放したくない。
ずっと私だけを、その腕で囲んで欲しい。
「好きだよ、柚子。柚子が、好きだ。」
その言葉が欲しくて、ずっと思っていた。
「私は、先輩に愛される“本物”になりたい……。」