【完】向こう側の白鳥。
「にしても先輩……、絶対柚子ちゃんのこと好きだと思うのになぁ。」
私は正直、一ノ宮先輩が苦手だったりする。
「そうかな……。気のせいじゃない?」
正確に言えば男の人が苦手。
その中でも先輩は、何故か格段に苦手。
……だって、先輩……。
「気のせいじゃないって! ほらっ、また柚子ちゃんを見てる!!」
先輩はいつも、悲しい瞳で私を見てくる。
気づかない内に、先輩は何処からか私を見ていて。
私がそれに気づいて視線を向ければ、先輩は何も無かったかのように視線を逸らす。
それが酷く気になって、ムカツク。