生意気なアイツが好きなんです!!!
夏だもん!

葵side

暑い日差しが私の肌を焦がすかのように照りつける

その日差しに反射してキラキラ輝くプールの水面

そして青いそ、ら、、

ぐいっ   ばっしゃーーん

じゃなくて、水の中!?

え、え、なんで?さっきまで陸上にいたよね?私!

てか、苦しいっ!!!

酸素を求めて慌てて水から顔を出す

「ぷはっ!」

息を荒くしながらあたりを見回す

だって今私誰かにプールの中に引きずり込まれたよね?

そんなこと私にする奴なんて1人しかいない!

ほら、にやにやしながらこっちをみてるじゃないか

大きく息を吸って、叫ぶ!

「ゆーうーすーけー!!!なーにっ、すんのよ!!」

そこにいるのは我が水泳部のエース様(私は認めませんけどね)、山崎雄介【ヤマザキユウスケ】。

サラサラの茶髪に二重の大きくてくりくりした目、身長はそんなに高くないけど、程よい筋肉と割れた腹筋を持つバランスのいい体、そして、整った顔立ち(らしい、全て友達談)

「は?ボケっと突っ立ってるのが悪いんだろ?俺はしーらね」

こいつは〜~~!!!!なにを白々しいことをいってるのよ!

「嘘つき!今私の腕引っ張ったでしょ!?先輩に何すんのよ!」

「先輩?え?ダレノコトデスカ?」

「あんたの目の前にいるこの女性は誰かしら!?」

「女性?え?どこ?」

「〜~っっ!!」

こんの、、、

「バカ雄介!100mダッシュ、10本追加ね!」

とたんに雄介の顔色がさっと変わる

「は?ちょ、ふざけんな!死ぬって!」

「しーらない!はい!してくる!マネージャーからの命令ですよー!」

ふんっ!私をバカにしたバツですよーだ!!
せいぜい後悔しなさい!ばーか!

「っ、くっそ!覚えてろよ、、、!!」

そう捨てゼリフを残してプールに飛び込む雄介
泳いでる姿はまぁまぁ、、かっこよくないこともないかもしれない、、。

ようやく静かになった。でも、、

「はぁぁぁ~、、。」

思わず口から漏れるため息。
ったっく、このびしょびしょになった服どーしてくれんのよぉぉぉ。

夏だからすぐ乾くかもだけどこれは着ていたままじゃ乾かないって!
今日に限って変えのTシャツ忘れたし、、。
幸い下着はあるけど、、、。

どーしようか、、、これ。

頭を抱えていると後ろから不意に肩を叩かれた。
びっくりして振り返るとそこにはにっこり笑顔の親友の姿。

「なーんでそんなに濡れてんのよ、葵!まさか、プールに入ったとか?」

笑顔というか苦笑というか曖昧な顔で話しかけてくる彩花に、慌てて反論する

「違うのよぉー!雄介のバカが私の腕を掴んてプールに引きずりこんだのー!」

事の次第を話すとまたまた苦笑しながら、相変わらずね、と、くすり。
そんな姿も絵になる彩花は超がつくほどの美人!

新谷彩花【シンタニアヤカ】は、私と小さい時からずっと一緒の幼なじみの高2。すっと通った鼻と端正な顔立ち、目は大きくもなく小さくもなく程よい二重で、身長も私と同じくらいだから、165センチぐらいでそこそこ高い!キレイな黒髪はもちろんスタイルも抜群!
だからもう、もてるもてる!
まぁ、彼氏いるけどねー。

「あ~、着替えないよ~!どうしよう、、、。ねぇ、着替え持ってない?」

持っていることを頼みの綱として尋ねるけど、持ってないよね、普通、、、。

「んー、もってない、、、。けど!」

と、ふと思いついたように声を張り上げる彩花

「予備の水着ならあるよー?」

「はぃ?」

思わず声が裏返る。今なんか言った?ん?空耳よね?

「だーかーらぁー、予備の水着着ればいいじゃん?私の。」

「はぃーーー!?」

空耳じゃない!!
なんでそんなにニヤニヤしてるのー!!!

「いーじゃんか!久しぶりに着なよ!競技水着!」

どこか楽しそうに懐かしそうにいう彩花。
そんな彩花を見ると、ふと、あの頃の光景を思い出す。
輝く水面、肌を水が撫でる感触、、、。

もう、なにもかもが昔のこと。

「え、でも、私マネージャーだし、、。」

ためらいがちにそう言うと、ニカッという効果音がつきそうな笑顔で微笑む彩花。

「だーいじょーぶだって!上にタオルかければいいんだしー!」

「う、、。だい、、じょうぶ、、かなぁ、、。」

不安げにしている私を見ると少し眉を寄せて、

「いや、着たくないならいいけど、さ。ほら、葵の気分次第だし?」

と、寂しげにわらう。

私の為でもあるのかな、、。
「あの事」があって以来、水着を着ることを地味に避けてきた私のために、着る機会を?

なら、、、

「なら、さ。着ようかな?今日だけ、、。」

下を向いてそうつぶやき、ふと、顔を上げると花が咲いたような笑顔を浮かべている彩花。

「じゃあ、さっそく着にいこーよー!」

くんっと、腕を引っ張られる

「わわっ!ちょ、ひっぱんないでぇー!」

笑い声を上げながら更衣室へとプールサイドを走っていった。



雄介side

「くっそ~!あの鬼マネージャーめぇ~!」

さっきあの鬼マネージャーに言い渡された100メートルダッシュ10本をなんとか泳ぎ終えたあと、誰に言うでもなく呟いた、、はずなのに

「あれはどー考えてもお前が悪いだろー」

横から声が聞こえた
聞き慣れた声、玲音だ。

楠井玲音【クスイレオ】脱色した金色のふわふわパーマに、ハーフのような整った顔立ち。
スラリと背が高くてまるでホストみたいなヤツ!
でも、根は真面目で熱い俺の親友。

「うっせぇなー!俺の勝手だろ?玲音には関係ねーよ!」

「関係あるんだよ!!葵先輩の機嫌が悪いとメニューがキツくなんだよ!それに、、」

そこでいったん明らかに意図的に言葉を途切れさす。

「それに、、なんだよ?」

続きを話すよう促すと、ニヤリと意味ありげに微笑み

「いくら葵先輩が好きで、見てほしいからと言って、意地悪ばっかしてたら嫌われんぞ?」

爆弾を俺の上に落とした

「っ、、はぁぁぁ!?」

思わず声が裏返り、叫ぶ俺を横目で見つつ、玲音は苦笑を浮かべる

「んな、、っ!?なんで、俺がアイツのこと好きなの知ってんだよ!?」

アイツ、、如月葵【キサラギアオイ】は俺の1個上の先輩。
スラリと身長が高くてスタイルよくて、サラサラな栗色の髪にくりくりした目。
笑うと現れるえくぼにキレイな唇
まさにこれこそ美人!っていう感じなのに全然女女してなくてむしろサバサバしてる
そのギャップにもドハマりしたんだけど、一目惚れだった。

入学式の日、偶然屋上から見かけたんだ。
プールのフェンスに寄りかかって桜を見ながら1人佇んでいるところを。
その姿があまりにも綺麗で、、。
俺は恋に落ちた。

誰かに、一目惚れ、、というよりも恋をしたのは初めてでだから誰にもバレないようにしてきた
たはずなのに!

恥ずかしいのと情けないのと気づかれていたという気持ちがごっちゃごちゃになって、俺の頭の中を駆け巡る

「いや、ふつーに気づくだろ?お前あんな顔他の女にしてねーし?」

「俺、どんな顔してんだよ!?」

逆ギレ気味に尋ねると、

「顔に好きって書いてある」

さらりと再び爆弾が投下される
冷静に考えれば書いてるわけわけないのに、顔をぱっと手で隠した

「って、ちょぉーまて!て、事は、、さ。アイツにも、、。知られてるってこと、、か?」

そうだよ!書いてあるってことはさ、アイツにもバレてるってことだよな?

不安を覚えてそう聞くと

「いや、葵先輩は多分気づいてねーだろ。鈍感そうだし。てか、彩花先輩がそう漏らしてたし。」

「そ、そうか、、。」

ほっと胸を撫で下ろす
よかった、アイツが鈍感で、、。

「でも、部のみんなは大体の人が気づいてると思うぞ?」

「ぐはっ、、!!」

出来るなら、今すぐ穴に飛び込んで消えてしまいたい気分だ、俺のあの行動が全てアイツを好きだからやってることだって気づかれていたのか、、。
あいにく下はコンクリートのプールだけどな、、。

「お前の行動、単純だからなぁ。好きな子いじめるってどこの小学生だ!」

「もう、勘弁してくれ、、。」

HPがゼロになり、うなだれると玲音が爽やかに笑いながら、まぁ、頑張れよと言う。
言うほど簡単でもねーんだぞ?
あいつおとすの、、、。
あんなに、鈍感なやつ見たことねーもん。

「はぁ。」

ため息をひとつ落とした時、突然プールがざわめいた。











< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop