幕末オオカミ 第三部 夢想散華編


あのとき、土方さんは体を闇に包まれて……あたしが霊力を使って、なんとかはがしたんだっけ。


あたしたちの話を聞いていた土方さんは、腕組みをして、眉をひそめた。


「……というか、どうして同じものにやられて、俺は無事で、近藤さんは死んじまったんだ?」


そういえば。

あたしと総司は顔を見合わせる。


「距離……でしょうか。朧はかなりの至近距離から、近藤先生に攻撃しました」


「なるほど。楓が霊力で札をはがせることを知って、より強化させた術で確実にしとめようとしたのかもしれねえな」


「あるいは、真言の種類が違った?」


斉藤先生も何種類かの護符を使い分けるけど、真言によって同じお札でも効果を変えることができる。


忍の真言は口の中でぼそぼそと呟くようにするものが多く、あたしたちにその違いが聞き取れなくても無理はない。


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