幕末オオカミ 第三部 夢想散華編


「楓です。開けていい?」

「おう」


短い答えが聞こえ、襖を少しだけ開けて体を滑り込ませる。

すると、やはりそこには洋装に着替えた総司と平助くんがいた。


平助くんはもともと短髪だったから、全然違和感がない。

立襟のシャツだけでは寒いのか、肩に厚めの上着をかけていた。


そして総司は……。


くせのない真っ直ぐな長髪をばっさりと切り落としていた。

長い前髪はそのままで、横や首のあたりは、副長より少しだけ長めに残している。


「くそ、ちくちくしやがる。異人はよくこんな髪でいられるよな」


少し前まで、武士は長い髪をしっかり結うのが当然だったわけで……総司は慣れない短髪の感触が気に入っていないみたいだった。

左右に三角に開いた襟元に襟巻をして、ベストのボタンを胸まで開け、ズボンを履いた足であぐらをかく姿は、正直だらしない。

けど……。


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