蕾 〜A bud of fate〜

階段を上る途中に俺はバイトの事を思い出した。


「なぁ、猫己。」

「にゃぁに?」
 
「これどう思う?」
素早く、馬鹿(花朔)が渡してきた紙を見せてみた。


「おぉ…なんかの器具いっぱいぃ…」
目を真ん丸くしながら猫己は紙を見つめる。



「いや。今回の注目点はそこじゃなくてな……それを全部盗まないとだめなんだ。」

はぁ…っと溜息をつきながら俺は呟く。



とりあえずドタキャンしてもいいよな?


どうしようか?
腹痛にしようかな?
あ、風邪気味で体調悪いとかもいいかもな。




「ねぇねぇっ。夜運にゃん。ちょっと気になったんだけど。」
「にゃに?」



俺がドタキャンする理由を試行錯誤している時に聞かれたから、びっくりして噛んで猫己みたいな喋り方になったじゃないか!




階段を上り終え、もうすぐ教室という所で立ち止まり
「まずさ…こんないっぱいの器具どうするのぉ?そんでこんないっぱい器具がある病院あったかにゃぁ?」

そして
にゃにはスルーかよ!



まぁ、それは置いといて。
猫己にしては…良いとこ突いたな。




まぁ口に出して褒めないけど。
なんか褒めたら負けた気がするし。
< 11 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop