蕾 〜A bud of fate〜

・夏場のラーメンは個人的に無理。



見間違い……では…なかった…。


その人間が視界に入り、認識した……。
こいつは…最牙 猫己(サイガ ネコ)だという事を。


俺にさんざん迷惑をかけ続けた「おさなじみ=悪魔」だ。

水風船を家で投げまくったり、勝手に冷蔵庫開けたり…あげくの果てには猫己は俺の家の物置で猫を飼ってやがった。あれはびっくりした。

こんな事が毎日のように続いた。
猫己自身、迷惑をかけたという反省の気持ちはないらしい。

困ったもんだ

と俺は文句をぶつぶつ呟かない日が珍しいぐらいだ。


まぁ高校に入ってからはマシになったが。
あいつも成長したって事だよな。

良かった良かった。


しかし
いくつか、まだ怖い点がある。それはこれからわかる事だ。
ちなみに、語尾は想像通りだと思う。




そして…無視はできない。なんでって?
少し前に、1人の時に猫己の横を無視して通ったらドロップキックされたもん。俺めっちゃ飛びましたよ。





俺が花朔以外と話したりしてたら近寄らないし、無視しても大丈夫なんだが、俺が1人の時に滅茶苦茶絡んでくる。
人見知りらしいよ。信じられないけど。






「おう…おはよ。」

一応挨拶。
紳士爆発、俺。

「んぅ?お!よるぅ!おはにゃぁん」

にゃってお前…朝から猫語かよ。

とりあえずスルースキルを発揮して俺は階段を上る。

「なぁんで無視すんのぉ?」
「………だるいから。」
「もぅ…ひどいにゃぁ…」
「お前の方がひどい。」

「ひどくにゃぁいっ」
ふて腐れながら猫己も立ち上がり、俺の後ろにぴったり並び階段を上り始めた。



ついてくんな。




なんて口が裂けても言えない。
ヘタレだし。


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