泣き虫彼氏と強がり彼女。【上】
「美麗ちゃぁぁぁん!!!任せてぇぇええええ!!」

理事長室の中から漏れる大きな声。

「はっ…?」

蓮唯は思わず出してしまった。

「今の声…亜藍理事長…だよね?」

そういう朱音に二人は頷く。

「まぁまぁ、ここは早く帰宅しましょう。
相当下校時間は過ぎてますし…」

希子の言葉で三人はそれぞれの道に帰った。

..........................

「ねぇねぇ…蓮唯、あれって…」

朱音が指をさした方向を蓮唯が見る。

そこには受験発表で見た男の子。

「あ…」

蓮唯はそう言って近づく。

「優…だっけ?」

優はその言葉に振り返る。

「あ、れ、蓮唯ちゃ…「ちゃん付いらない。」

優の言葉よりも早く言う蓮唯。

「あ、じゃぁ…蓮唯…。」

「ん。何してるの?」

蓮唯は聞く。

「桜…見てた…」

優は小さく言う。

「ほんとこの学園の桜好きだよね。」

「うん…。綺麗なんだ。蓮唯みたいに…」

優はさらっと言う。

「…ん?」

「誰が綺麗?」

蓮唯は聞き返す。

「えっと…。蓮唯みたいに綺麗なん・・・「どうして?」

「え?」

「だから、なんで私みたいなの?」

「だって…発表の時…すごい…えがっ…笑顔だったから…」
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