泣き虫彼氏と強がり彼女。【上】
「なんでもいいぞ。ピアニストをやめてもいい。」

「それは困るね楓くん。」

「!…亜藍さん…。」

ドアにもたれて言う亜藍。

「君は美麗ちゃんの弟さ。
ピアニストをやめてしまったら君に憧れているそこの一十木朱音ちゃんはどうするんだい?」

「!わ、私…?」

「蓮唯ちゃん。君の親友のためにそれは勘弁してくれるかな?」

亜藍は笑言う。

「もともとそんなつもりはないですよ。
楓さんがピアニストをやめてしまったら朱音が楓さんを超えるという夢は終わってしまいますから。」

蓮唯は亜藍に言った。

「したかねぇな。じゃぁJapan音楽祭の無条件出場でいいだろ。」

楓はそう言って教室を出て行った。

「Japan音楽祭…?」

蓮唯は首をかしげる。

「そんなのも知らないで歌手になろうとしてたの…?」

朱音は蓮唯に言った。

「うん。」

「サラッと言うなよ…」

朱音はため息を付いて言う。
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