もう絶対に君を離さない!!
知ってしまった真実
もう世の中はクリスマスムードでいっぱいの時期になっていた。

病院のロビーにも、大きなクリスマスツリーが飾られていた。

実緒にも見せてあげたいな・・・。

でも、今の状態では特別室から出すわけにはいかなかった。

「春斗先生・・・。」

後ろから声をかけられ振り向くと・・・。

「先生。実緒ちゃんはどこにいるんですか?元気なんですか?私、会いたいんです。」

その子は実緒と一緒に仕事をしていた宮川さんだった。

「君か・・。ごめんね。実緒には合わせられないんだ。」

「お願いします。ほんの少しで構いませんから!!」

「気持ちはわかるんだけど、今は無理だから・・・・。」

そう伝えると、俺はその場を後にした。

そして、白石先生の待っているカンファレスルームへと向かった。

「すみません。遅くなりました。」

中に入ると原先生も呼ばれたらしくその場にいた。

「春斗先生、最近の実緒ちゃんの様子はどうですか?」

白石先生に聞かれ、父さんが実緒に話したことや、自分で記憶を思い出そうとしている事などを話した。

「そうですか・・・。このままだと実緒ちゃんは何かのきかっけで思い出してしまうかもしれません。」

「どうでしょう。危険を承知の上でこの際記憶を戻してしまいませんか?」

思いも寄らない提案だった。しかし原先生が・・・。

「僕も、実緒ちゃんがそれを望んでいるのなら、そうするべきではないかと思ったのです。」

「いつまでも、アメリカにいるという嘘が通用するとは思えないんです。」

確かにそうかもしれない・・・。

しかし、実緒の体への負担や影響を考えると、素直には頷くことが出来なかった。

俺は、怖かったのだ。
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