影光 ーmoonlightー
「物心ついたころから既に暴力を受けてました。





でもそれを俺は、何も分からなくて…」





*::*


「何度言ったら分かるの!!」




「ごめんなさいっ!!許して!!」





どんなに謝っても無駄でした。




長い定規のようなもので叩くんです。




手で叩かないのがまた冷たくて





痛いし素手じゃないから愛情とかも全然。




次第に叩かれることに抵抗心を感じなくなって






母が怒ったらなされるがままだったんです。





でも、ある日学校の階段の踊り場で遊んでたら




足踏み外しちゃって、落ちたんです。





病院行きでそのまま痣とかも見つかって





母は遠くから駆け付けた祖母に怒られてました。





ぼーっとした目で見えたのは




心配そうなフリをしている母の顔で。






その時頭に来ちゃったんですよ。






「…なんで、俺の事殺さなかったの」





聞いちゃったんです。




病院の中だからひどく言われなかったけど




にっこり笑って言われちゃいました。






「殺せないじゃない。


あんたは預かった子だもの」





その後に祖母から自分は今の父の連れ子で



母と直接の血のつながりはないって。




まぁ、もちろん俺は祖母に引き取られて



今この状態ですけど。





母は警察行きですよ。



俺は暴力を振るわれてることすら


理解してなかったんです。
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