声なし姫〜空に羽ばたく声〜

次の日のお昼時間に太陽はきた。が、鞄をとりに来ただけらしく俺たちとは目を合わせずに帰ろうとしたので急いで呼び止めた。

「太陽!」
「ん?なんだ?」
「なんで帰るんだ?」
「そうよ。無断で遅刻するなんてらしくないわ。」
「そ、そうだよ!どうしちゃったの?」

優希と宇美の言葉の何が悪かったのか、太陽は無表情にこういった。

「どうした。か。お前らが知っても意味ねーよ。あと、暫く学校。来ねーから」
「それって・・・遠崎絡み?」

明希がそう言うとフッと笑って帰ってった。

それから一週間。太陽と遠崎は学校に来た。

もう一週間経ったが、太陽と一度もしゃべっていない
二人が席を外したとき、俺もすこし着いていった(正確にはつけて行った)。しかし、太陽は職員室へ行き、遠崎はそのまま屋上へ向かった。

ほんの少し話して見たかったから丁度良かった。少し遅れて階段を上って扉に手をかけたとき

〜♪

ーピタッ

何だ?屋上には遠崎しか居ない筈なのに・・・
すこし扉を開けて見てみるとそこには


空に向かって歌っている。遠崎が居た。そう、’声なし姫’と呼ばれている遠崎が。
その歌は美しく、儚かったが、俺はずっと聞いていた。

どのくらい経っていただろうか。歌い終わった遠崎は不意に

「出て来てもいいよ。上谷ーカミヤーくん。」

どうやらばれていたみたいだ。俺は遠崎のそばにいって、隣に座った。話す話題もなくて、俺は気になった事を聞いた。

「なあ、なんであんなに太陽とべったりなんだ?」
「ふふっ。無愛想で声が出ないのにってこと?」
「あ、いや、その」

俺があたふたしてると遠崎が微笑んだ。その笑顔に不覚にもドキッとしてしまった。
遠崎は理由を話す代わりに教えて欲しい事があると言った。

「どうして声なし姫なの?声なしだけでいいじゃない」
「ああ、それは。声がないけど、遠崎の容姿が綺麗だからだろ。それに、王子って言われてる太陽といるしな」
「うそ!」
「いや、ホントだって」
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