暴走族に愛された不登校女子。
「杏ちゃんが好きなんだ」
そう言うと、涙を一筋流していた。
あたしは何も言えなくなって、その場に立ち尽くした。
直樹は肩で息をして、落ち着きがなかった。
「……お前が今まで嘘をつくのは、人のためだと思ってた…」
悔しそうに言う声が酷く悲しく聞こえた。
あたしはただ直樹の言葉を聞くしかない。
静かな空気が、何度も訪れた。
「でも…お前も、自分の意思言えるじゃねぇか」
「直樹…」
智さんが少しだけ、いつもの瞳に戻っていった。
「なら、智。てめぇに勝負だ。
杏はぜってぇ、渡す気はさらさらにねぇ。
だけどこのままじゃ、俺もお前も。
何にも前には進めないから」