暴走族に愛された不登校女子。






-杏-




直樹が力なく横たわっているのを見つけて、

すぐに手当てをした。





救急車を待っている間、ずっと美沙の泣く声がした。






「智ぉ…智……」




「美沙…」




2人は空白の時間を埋めるように、ずっと抱き合っていた。


智さんがあたしにキスをして謝ったのは、まだ心の奥に美沙がいたからだった。




あたしに慰めて欲しくてキスをしたことを、後に知った。

だから智さんがあたしを好きだと言ったときに違和感を覚えたのだ。



豹也っていう人は、警察に連れて行かれて姿を消した。





直樹が言っていた柏さんは小呉が面倒を見ていて、


あたしはぽつりと雨が降り始めた空を見ていた。




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