暴走族に愛された不登校女子。




窓とかにスプレーがかかっているし、あちらこちらに傷跡が見える。

これぞまさしく不良校って感じだ。




「…あたし、やっぱり帰ろうかな…」



「何言ってんだよ。大丈夫だから」




こんなときまで優しく言われては、もう帰ることが出来なくなる。


仕方なく、校舎に足を踏み入れた。




「お。直樹、ついに連れてきたのかよ」


「おう、智」


「どぉも、杏ちゃん」




笑みを見せているこの方は一体…。


少しだけ怖くなって、直樹の後ろに隠れた。やっぱり初対面の人は慣れない。




「あぁ。杏、こいつは智。俺の昔からの知り合いだから大丈夫」


「おぅ! 俺は大丈夫なヤツだぜ」




直樹の背中から少しだけ顔を出す。




(蒼太にも昔瞳を見ろって言われたっけ…)





智、と呼ばれた人の瞳は、真っ直ぐに輝いていた。


それを見て安心し、彼の傍に行った。



「あの……杏って言います。よろしくお願いします…」




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