暴走族に愛された不登校女子。
「杏っ! 泣きやんで??
僕はもう元気だからさ」
「静くん……、じゃあさ今度打ち明け会しよう! 蒼太と一緒に、あの丘の上で」
「いいね」
あの時と同じ笑顔。
ただ違うのは、環境だけなのだ。
「蒼太は元気なの?」
「うん。もううるさいほどに」
「相変わらずなんだね」
その時扉が開く音が聞こえた。
「ふぅ~ん……、誰かさんは浮気が好物のようだなぁ」
「な、直樹! ちょっと待ってよ! 静くんは…」
「ンだ? 静くん? てめぇ…来いよ」
直樹に手のひらをぎゅっと握り締められる。あたしの腰に腕を回して、抱き寄せた。
「静くんってヤツ、俺の杏とあんま喋るなよ!」
直樹はそのまま音楽室を飛び出してあたしを引っ張っていった。