冷酷男子の溺愛
「なに、にやついてんの、気持ち悪」
ふっ、と、彼は八重歯を見せて笑った。
「別に、にやついてなんかないよ」
「いや、明らかにニヤニヤしてたね」
「してない、目おかしいんじゃないの」
穏やかな時間を────過ごしてた。
わたしの気持ちにも、そろそろ整理がつきそうで、前に進めそうだった。
彼のことは、忘れる、はずだった。
なのにこのタイミングで。
どこまでも冷酷なキミは
決してわたしを楽にはしてくれない。
「────いてっ」
昼過ぎ。たまにはなんか買うかということで教室を出て購買へ。
するとぶつかった拍子に紅茶をかけてしまうというなんともベタな展開に。
「……ち、冷た」
そして、紅茶まみれになった人は、やっぱり
「……最悪」
冷酷で冷淡で、でもなかなかわたしの心から出て行ってくれない────彼でした。