冷酷男子の溺愛
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ふと、記憶を辿ってみると、ぼんやりとたどり着くものがあった。
ひとつ、ひとつ、丁寧に。
まるで複雑に絡まった糸を解くように、思いを巡らせていった。
「……」
彼を追って学校に行って、公園で倒れてしまったあの日。
わたしは今まで蓋をしていた自分の記憶にたどり着いた。
その記憶は、忘れていた、と一言で言い切ってしまうには物語れないものがあって。
忘れていた自分が、どれだけ愚かだったのかを痛感させた。
わたしが忘れていた間にも、誰かを傷つけてしまっていたと思うと胸が痛むものがあった。
「……」
正直なところどうして自分が今までのことを忘れていたのかだけは未だにわからない。
だけど、わたしと彼は昔からの知り合いだったということには、気づけたのだった。