前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー
病院へ着くと夜勤明けの
櫻井先生が待っていてくれた。


昨日してくれたみたいに
タオルをかけてくれて


背中を見せたんだけど
まさか包帯が巻いてあるとは
思ってなかったみたいで…


しかも巻き方を見てビックリしてた


包帯を剥がして氷枕をバンドで
固定すると


「ミカちゃん、これ誰が巻いたの?
朝健夫かなんかが家に行ったの?」


「えっ?これですか?
レイジが朝巻いてくれました。
昨日、正人君…じゃなかった…
安藤先生が健夫くんに巻き方を
細かく説明してくれたので
健夫くんがその通りに巻いたのを
レイジは見て覚えたって
言ってました。」


「ああ、そうなの(笑)
さすが院長…全く無駄のない巻き方。
ぷっ(笑)正人くんでいいよ?(笑)
ミカちゃんの伯父さんだもんね?
それにしても礼二君は凄いね(笑)
これ結構難易度の高い巻き方だよ?
それを健夫がやったのを一回見ただけで
覚えちゃうなんて…
今から医学部受け直したら?
良い医者になるよ(笑)」



「ふふふ(笑)伝えておきます!
確かに、この巻き方だと肩がかなり
楽に感じます。背筋が伸びるし…
ただでさえ、デカイのに
また身長伸びちゃいそう(笑)」


「はははは(笑)
ミカちゃんって、すんごく可愛いのに
自虐ネタ多いよね?(笑)
俺と比べてごらんよ?
ミカちゃんなんか小さいよ(笑)」


「それは先生が男の人で
それと、男の人の中でも大きい方だからですよ(笑)私がカワイイ??
ないないない(笑)
地味な顔ですよ…私なんか…(笑)」


「ぷっ(笑)はははは(笑)
ミカちゃん、本当テンとそっくりなのに
性格が全然違うんだね(笑)
あ〜あ、俺ってとことんついてないな〜
これでもそこそこモテる方なのにな〜」


「ぷっ(笑)何がですか??
先生はとてもカッコ良くて素敵な人
ですよ?私嘘は付きません(笑)」


その時、診察室のドアの向こうから
私の声を遮るように


「ちょ ちょっと!ストップ!!
会話全部聞こえてますけど〜!
あんまり俺の彼女を惑わすの
やめてくれませんかぁ〜?
ミカは超が付くほど鈍感で無自覚
なんで、何言っても無駄ですよ〜」


と、レイジの声がした。


「んもう〜!私は鈍感でも無自覚でも
ないのにぃ〜!いつもそうやって
私を幼稚園以下って言うんですよ?!」


と頬を膨らませて剥れると


「ふははは(笑)いいなぁ…
礼二君は…こんなカワイイお姫様がいて
俺ってつくづく損な役回りだよ(笑)
さぁ、俺は日勤の先生とちょこっと
打ち合わせをしてくるから
それまでこのままだよ?
礼二君入ってきていいよー!」
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