前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー
帰り際に


「専属モデルを無理強いするわけじゃないんだけど
近々1度2人で撮影に来てみないかい?
1度経験してみて、それで考えてみては
くれないかな??
ミカちゃんは昨日の記憶が無いわけだし
レイジくんだって昨日は撮られてる事に
気がつかなかったわけだから…
いきなりこんな写真持ってきて
モデルやってくれだなんて
図々しいのは百も承知なんだ。
ただ、経験してみないとわからないことだと思うから…どうかな??」


と謙太郎さんに言われて…


うーーん


謙太郎さんの言う通りだよねぇ


でも…


私はレイジを見て首を傾げると


「ミカはどうしたい?
俺はミカがやるならやるし
やらないならやらない。それくらいのつもりで引き受けたから…」


と優しい口調で言った


うーーん


私だよ?
私なんかがそんな大それた事しちゃって
いいのかなぁー


考え込んでる私を見てリンカパパが


「ミカちゃん、1度経験してみたら?
どんな雰囲気で、どういうスタッフがいて、どうやって撮影していくのか…
社会勉強だと思ってやってみてはどうかな?きっと世界がまた少し広がるよ?」


とアドバイスしてくれた


うん。


そうだよね?


やりもしないで、出来ませんじゃ
筋が通らないじゃない。


「わかりました…
よろしくお願いします」


と私が言うと


「ミカがそう言ってるので
自分もそれでいいです。
詳細は母さんの方へ通して下さい。
色々と疑うわけではありませんが
自分はこの業界の事は全くわからないので…
母さんなら詳しいと思うので…」


「わかったわ礼二。
謙太郎?決まり次第、詳細は私に連絡をして。それと、撮影の日は私もついていくわ。礼二は勿論だけどミカちゃんも
私にとっては子ども同然。
見守る義務があるわ!」


「あああ、頼むよ梨沙子。
勝手がわかる人がついて来てくれた方が2人とも安心だろうから…」


と言って謙太郎さんは私達を見て
微笑んだ。


リンカママ…
本当にありがとう!!


「じゃっ、母さん、俺らは行くね
謙太郎さん、失礼します
ミカ、行こう…」


とレイジが私の肩を抱き寄せた


「あっうん、
それではまた後日
よろしくお願いします!!
リンカママ、ありがとう!
リンカパパ、明日からまた撮影頑張って下さい!!」


と言って家を出た。



ミカ達が部屋を後にした後……


「ねぇねぇ、謙太郎?
ミカちゃん良いでしょう?
あれで性格もとっても良い子なのよ〜」


「あああ、2人とも最高の逸材だよ!
なんとかして、うちの専属に欲しい!
うちは今まで専属契約をしてこなかったんだけど
あの2人は他所へはやりたくない!
この写真が世に出る頃には
他のメーカーやモデル会社から引っ張りだこだろうなぁ」


「そう…それも困るわねぇ、龍太郎??」

「そうだな。
アルバイトだと思ってやってくれたら
助かるんだけどな…
まぁ、礼二はミカちゃんが首を縦に振らない限りは無理だよ。
あいつは俺に似て頑固な所あるから」


「本当(笑)
そういう所は龍太郎似だわ!」

「凛花のズバズバ言う物の言い方は
梨沙子そっくりだけどな(笑)」

「おいおい、俺の前で梨沙子を怒らせないでくれよ(笑)
ただ、一つ心配事があるんだ。
撮影スタッフはメイクから何まで全て男なんだ。プロのモデルは気にしないけど
ミカちゃんはびっくりしちゃうだろうな」

「あら、案外好都合かもよ。
着替えは私がやるわよ。
礼二は小さい頃からミカちゃんの虜だから、男ばっかの所にミカちゃんを放り込んだりしないわ!
見られたくない部分は私がフォローしてあげる!そのかわり、バイト代ちょうだいね!(笑)」

「いいのか?
梨沙子やってくれるのか??」

「もちろん!」

「なら助かった……」
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