ふたりぼっちのクリスマス
あれが波。

これが波の音。

これが砂浜。

これが潮の匂い。

「…これが…海……」

海の全てに圧倒された。

夕日に照らされたオーシャンブルーがとても綺麗で、しばらく見惚れていた。

「綺麗だな」

直樹が屈んで、私と目線を合わせてくれ、微笑んだ。

私も微笑んで頷いた。

どちらからともなく手を繋ぐ。

指が絡みあうと、妙に気恥ずかしくて、お互いに顔を見合わせて照れ笑いした。

「…ありがとう」

「…ん?」

「連れて来てくれてありがとう」

私が笑ってそう言うと、直樹は照れくさそうに頬を掻きながら笑った。

彼のこんな笑顔をみたのは初めてで、心がすごく温かった。

幸せって、こういうことなのね。

いつもぼんやりと感じていた温かさがやっと形に現れた。

その幸せの心地よさに目を閉じた。

その途端に、眠気が襲ってきて、首がコテン、と直樹の肩にのってしまった。

「……?璃子?」

何処かであなたが私を呼ぶ声が聞こえた。

ごめんなさい……。すごく、すごく眠いの。

「璃子…!駄目だ!!逝くな!」

必死に私の肩を揺らす直樹。

起きたい。直樹を安心させたい。

なのに、体はいうことを聞いてくれない。

だから、最後の力を振りしぼって、薄目を開けて、笑った。

そして、私が直樹に言いたかった言葉を。

「…あり…が…とう……」


















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