ふたりぼっちのクリスマス
「行ける……!!行けるよ!!」

クリスマスの日、直樹は喜々として私の病室に入ってきた。

なんのことだか分からずに首を傾げていると、直樹は私の両手を包んで、満面の笑みを浮かべた。

「お医者さんから、オッケーが出たんだ。早く行こう」

………嘘。信じられない!

あの先生がオッケーを出すなんて。

外に行ける。それだけで私の心は踊った。

嬉しい。直樹と二人で何処かに行ける日が来るなんて思ってなかったから。

車イスに乗せられ、何年かぶりに病院の外へ出た。

酸素ボンベや人工呼吸器やらたくさんの器具をつけられたけれど、そんなものは気にならなかった。

この日ばかりは直樹はずっと笑ってばかりで、それが感染ったのか、私も笑ってばかりだった。

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