唯一の純愛
私は卑怯だ。

会話を重ねるうち、彼女が寂しがっている事は察していた。
人の温もりに飢えていると感じた。

それまでの彼女の人生を考えれば、それは当然の事であろう。

もちろんこの時点での私は、彼女の抱えているものなど知りはしない。

ただ漠然と、彼女が求めているであろう優しい大人を演じていた。
私にとって、彼女とのやり取りは、オフ会参加人数確保のための駆け引きでしかなかった。

しかし、彼女にとっては、久しぶりに触れた優しさだったと、後に語ってくれた。

強引ではあったが、彼女はオフ会への参加を承諾してくれた。

オフ会前日の夜の話である。
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