唯一の純愛
妻と私のもどかしい日々に、先手を打って出たのは、他でもない、子供だった。

僕のパパになってほしい。

最高の口説き文句。

私は涙をこらえながら、いいよと、一言だけ答えた。

無邪気に抱き着いて来る子供。
妻も抱き着いて来た。
二人の顔は幸せそうな笑顔が溢れていた。

この笑顔を守りたい。

他人に心を開く事のなかった私が、初めて自分以外の人間を守りたいと思った瞬間だった。

この日から、私達の5年間が始まった。
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