唯一の純愛
妻との日々は楽しい事ばかりではありませんでした。
当然ながら、喧嘩をする事もありました。
別れようと思った事も何度もあります。

辛い事も沢山ありました。
二人で悩み、二人で泣いた事もあります。

でもそれ以上に、楽しかった思い出が多すぎて、私達は離れる事なく寄り添う事が出来ました。

遊園地にも行きました。
某テーマパークにも行きました。
車で片道10時間以上かけて、私の故郷にも行きました。
コンサートにも行きました。

妻には自分の体をハンデだと思ってほしくありませんでした。

私と一緒なら何処へでも行ける。
私と一緒なら何だって出来る。
そう思ってほしくて、色んな場所へ行き、色んな事をしました。

私が妻の手足となり、支えてあげればいい。
たったそれだけで、妻は諦めていた様々な経験をする事が出来ます。

妻はそれを重荷なのではないか、と考える事があったようでした。
こんな体の自分と居ても、これから先、迷惑をかけるかも知れない。
今なら恨まないから、離れたいなら離れてくれていいよ。

何度か妻にそう言われた事があります。

その度に、私は同じ答えを返しました。

俺は自分の意思で、好き好んでここに居る。
それは同情じゃなく、愛情だ。
だから俺は離れない。

そう答えました。

その度に、妻はありがとうと言いながら泣きました。

きっと妻は、心から愛された事がないのだと思います。
だから私を失う事を恐れ、失うくらいならば自分から壊してしまおうと考えてしまってたのでしょう。

妻を幸せにしてやりたい。
いつしかそれが、私の生き甲斐になっていきました。
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