唯一の純愛
深夜の散歩の道中、お互いの過去について語り合った事があります。

お互いの知らない過去のお互い。

私は妻の話を聞きながら、どこか現実味のない、物語を聞いているような感覚でした。
それほどまでに、妻の過去は波乱に満ちていました。
妻の死後、妻のご両親や幼なじみから、それらが全て事実だったと知り、私は涙を堪え切れませんでした。

もっと真剣に聞いてあげれば良かったと、後悔しています。

妻自身、あまり過去の話はしませんでした。
きっと、話してしまうことで私が離れていくんじゃないかと、不安に思っていたのでしょう。

妻もまた、弱かったから。
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