うそつき執事の優しいキス
 なにしろ、本宅を任されて半分引退状態の爺はともかく。


 現役バリバリの執事をやってる宗樹のお父さん。


 今日もお仕事をしているウチの父について、世界を股にかけた分単位のスケジュールを管理しているはずだ。


 そーいえば。


 入学式も、部活紹介も、蔵人さんが乱入して来るまで、恐ろしくスムーズだったなぁ。


 きっと、宗樹がマネージメントしたんだろうな、って判る。


 だから、聞いたんだ。


「……えっと。
 それならなおさら、マネージャーって難しくない?」


 首をかしげるわたしに、井上さんはまぁ~ねぇ~と手を振った。


「だから、他のバンドはともかくCards soldierには軽音部に所属した正式なマネージャーはいなかったし。
 時々マネージャーを名乗る人が出て来ても、それは軽音部とは関係ない。
 ダイヤモンド・キングのとっかえひっかえしている彼女の一人だったりしてたんだけど……」


「なぁに……?
 井上さんって、ダイヤモンド・キングの……彼女になるの?」


 朝、聞いた限りでは、確かに今はフリーっぽかったけれど。


 聞いたわたしに、井上さんはまっさかぁ~~って言って笑った。
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