よくばりな恋
「まさか本気でどうこうなれると思ってた訳やないでしょ」
「愛人でもムリ?」
「ムリムリ~」
看護師さんたちが大きな声で笑いあう。
更衣室を出て、職員出入り口へ向かう。
どこのデパート行こうかな。そうだ、新しい服も見ようかな。守衛さんに挨拶をして外へ出ると、思いの外風が冷たい。
コートの前をかき合わせ、首を竦める。
ガラガラと足元から崩れ落ちそうな気持ちをなんとか立て直して、バス停への道を急いだ。
院長先生には薄い茶色のチェックのハンカチ、ちはやさんには白地にピンクの水玉模様のタオルハンカチ。昨日締めつけられるような胸の痛みを堪えて買ったものだ。それを持って、最上階へ行くエレベーターに乗る。