よくばりな恋
パンケーキ作るくらいの時間はあるかな?大体9時によびつけておいて、まだ寝てるんじゃないの?

「いいよ、入っておいで。作っておくし」

遊びにきた時にはいつもおばさまの手伝いをする勝手知ったるキッチンに行くと、材料の確認をする。牛乳と卵を冷蔵庫から出して、小麦粉を探す。

「たしかここだった?」

斯波家のドイツ製キッチンはステキだけど戸棚が全部高くてわたしには少し不便。つま先立ちをして戸棚を覗こうとすると、横からすっと腕が伸びてきた。

「何が欲しい?」

振り向くと斯波先生。白いTシャツにグレーのスウェット、パジャマっぽい。

「小麦粉が欲しいです。空くんがパンケーキ食べたいって。先生も食べますか?」

「食べる。コーヒーも」

「わかりました。座っててください」

斯波先生がクスリと笑う。

「?」

「翠はどこ行っても料理してんな」
と言いながらほっぺたを軽く引っ張られる。

そう言えばそうかも。

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