よくばりな恋
診察室に入ったところで、倒れそうになった。
受付の女の子の笑顔の意味がわかったから。
「廣田さん、大丈夫?」
心配そうに藤原先生がのぞきこむ。
「熱、38.8度もあるの?」
「・・・・・・・・・・はい。昔から扁桃腺が弱くて・・・・・・・・・・」
「とりあえず胸の音聞かせて」
ノロノロとブラウスのボタンを開ける。
藤原先生がちょっと目を逸らしたのは気のせいかな・・・・・・・・・・。
「あらあ〜廣田さん、羨ましいくらい色白ねえ」
横にいる中年の看護師さんが声をあげる。
「はは・・・・・・・・・・それだけが取り柄です・・・・・」
藤原先生の少し冷たい聴診器が胸にあたる。
「ホント白いね。毛細血管が透けて見えてキカイダーみたい」